節約モードではダイエットも成功しない

理論上では、体重が減っても筋肉量が変わらなければ基礎代謝は変わらないはずですが、実際に急激に体重が減少すると、セットポイントが変わり、「節約モード」に入って、基礎代謝が下がってしまいます。同じ体重で体組成が同じでも基礎代謝が低い、ということになります。

私の実験では、ボクシングの選手が10kgの減量をしたときは、1日当たりの基礎代謝が1週間で150kcalくらい下がります。運動選手なので筋肉量は減らないようにしていたとしても、身体は節約モードになります。

その場合、身体のどこの部分の消費が減る、というよりは全体的に減ります。脳も肝臓も消費が減りますし、体温も下がります。食事の量が減ることで食事誘発性熱産生(DIT=食事・消化によって消費するエネルギー)が減るので、それも減少の大きな要素です。いわば飢餓状態になって、寝ているときの基礎代謝でさえ下がってしまうのです。

2kg程度の減量なら脳の感受性もそこまでストレスを受けることはありませんが、5kgだと身体は避難的行動をすることになってしまいます。人類は食物が十分でなかった時代が長く、体重が減るということは本能的に危険な信号なので脳に大変なストレスを与えるのです。