今作の肝は、お客さんをいかに巻き込んでいくか。役作りに関しては、自分なりにいろいろと考えました。当初は普通に背広を着て登場する予定でしたが、アフロヘアとサングラスに派手なスーツ姿で、ファンキーにしたほうがいいんじゃないかと提案したり。
お客さんは俳優本人のイメージを役に当てはめてしまいがちなので、作品に入り込んでもらうためには、誰が演じているのかわからないくらいがちょうどいいと思ったんです。
ここから先はネタバレになるからあまり話せないけど、僕は今回、目くらましのような役回りでした。だから目線にも気を配る必要があったし、隙を与えないように、長ゼリフを機関銃みたいに話さなければならなかった。それが大変だったかな。
正直、原作の小説を読んだときに映像化は難しいと思ったんですが、出来上がった作品は見ごたえ満点。個人的には、観ている人が自ずとミステリーのなぞ解きを始めてしまうという、視聴者参加型の映画になっているのが斬新だと思う。
それに、荒唐無稽なシチュエーションでも、観ているうちに不思議と現実味を帯びていくんです。これはまさしく堤幸彦監督の手腕によるもので、彼のすごさを改めて痛感しました。
今回、天才少女を演じた芦田愛菜さんをはじめ、浅野ゆう子さん、野間口徹さんなど、個性的な6人の解答者も最高でしたね。それぞれに自分の推理を披露する長い見せ場があって、しかもワンカットで撮るということで、現場には緊張感が漂っていました。
そんななかで、誰かがいい芝居をすると、周りも触発されて負けじと頑張る。自分もいいところを見せたくなってしまう。これは俳優の《性(さが)》です。その姿がまた美しいんですよ。
みなさんの芝居を見ていて、とてもワクワクしました。監督も、予想外の芝居に合わせて演出を変えたりして。俳優って面白いな、この仕事を選んでよかったなと思いましたね。