女の楽しみ
伊藤 あら。そういう阿川さんは、ずっとそのショートヘアがトレードマークなんですね。
阿川 そう、ショートの時代はかなり長いですね。実は私、自分でヘアカットしてるの。
伊藤 えっ? どうしてまた。上手ですね。
阿川 一番の理由は、美容院に行ってる時間がない。両親の介護が本格化した頃に、自分で前髪や毛先を切るようになったんです。やっているうちに慣れてきて。でも近年、パーマをかけないとボリュームが出ないから、去年あたりから、私としては画期的なことに3か月に一度は美容室へ行くようになった。それまでは3年とか5年とかに一度しか行ってなかったの。
伊藤 3年とか5年? むっちゃ間遠なのね(笑)。美容院で過ごす時間がもったいない、っていうのはすごーくわかる。私もパーマはかけますけど、ヘアカラーまでやる時間はなくて、白髪はなんにもやってない。気にもしてない。あの時間って、何もできないじゃない。煌々と明るい照明の中、自分のこの顔を真正面から鏡で見つめるだけ。
阿川 老眼鏡をかけられないから、本も読めない。だから毛先は自分で切って、いよいよぺったんこがひどくなったらパーマをかけに行きます。ヘアオイルつけてつやつやにしてる人を見ると、あらすてき、と思うけど、でもオイルはボリュームがなくなっちゃうかな、とか試行錯誤の日々。
伊藤 ボリュームか……それもあんまり気にしたことない。
阿川 いいわねえ。でもまあ、髪の毛を伸ばそうかな、切ろうかな、前髪はどうしよう……とか、あれこれ悩んでうつろうのも、女の楽しみのひとつでしょ。
