子どもに迷惑かけたくない?

阿川 娘さんは皆さん、アメリカでしょう。

伊藤 はい、三人とも。だから、いずれ私もアメリカに戻ることを考えなくはない。私が父や母のときそうだったように、熊本とカリフォルニアを往復するような介護は娘たちにさせたくないし、彼らには現実的に無理な気がしてるのね。

阿川佐和子さん(撮影:枦木功)

阿川 航空券代だって、十数年前とは比べものにならないくらい上がってるし、行き来が大変になってますよね。

伊藤 私があちらに戻るなら、熊本にあるものを処分して帰っていくことになる。問題は、私がまだ老いきらないうちに……こっちにいて死んだら、残っちゃったものの処分が大変だろうな、とは思う。

阿川 そうなのよ。伯母のとき、本人が認知症になったら銀行に預けたものなんか、いくら家族親族でもまったく触れなくなって大変だった。

伊藤 触れないんですか。

阿川 事前に代理人の手続きをしていればいいのかな。そうでない場合は一切、触れない。だから私が心配なのは、自分もいつ認知症になるかわからないから、もしそうなったらまだ半分正気が残ってるうちにいろんなものを処分しないと、あとの人が本当に困るんだということ。

伊藤 認知症の場合を考えたことはなかった。