3月まで算数を教えていた小学校の教室で

きっかけはトライアスロン

そんなふうに水泳一筋だった私が自転車に乗るようになったのは、トライアスロンへの憧れからです。もともと、20歳の頃にテレビでレースを見て興味を持ったのですが、「水泳はいいとして、走るのは嫌いだし、自転車はママチャリしか乗ったことないし……」などと躊躇しているうちに、結婚・出産で忙しくなって、しばらく忘れていました。

でも、次女が小学生になり子育てが一段落すると、また、ふつふつと「トライアスロン」の7文字が頭に浮かんできました。そこで、夫に相談してみると、「じゃ、自転車を買おう」とあっさり。夫はごく普通のサラリーマンですが、若い頃、自転車にハマっていたんです。自転車を購入してからは、夫も一緒に近所のサイクリングコースで練習。

嫌いなランニングは、少しでも楽しくこなしたいので、「ねぇ、一緒に走ろうよ~」と、娘たちを巻き込みました。娘たちは、最初のうちは子ども向けのトライアスロン大会に参加したものの、すぐ「こんなにつらいのは嫌!」となり、全然親に付き合ってくれなくなりましたけれど。(苦笑)

 

自転車を心の底から大好きになった瞬間

2000年、憧れていたトライアスロン宮古島大会に出場すると決め、トレーニングジム通いを開始。そこで出会ったアマチュアの自転車クラブ「マリアローザ」に所属する男性の誘いで、夫も伴い、自宅のある東京都大田区から鎌倉へ、初めてのツーリングに行きました。

このときはめちゃくちゃ疲れたんですが、往復約100kmの道のりを、ほぼ無休で完走できたことで、「私ってすごい!」という実感が湧き出てきました。これが、自転車を、心の底から大好きになった瞬間です。

その後、宮古島大会を無事完走し、01年、自転車レースの「東京→糸魚川ファストラン」(約300km)に出場。途中、眠気に襲われ、約10分間地べたで仮眠をとってしまったものの、ゴールしてみれば、女子のトップ。若い女子選手たちをさしおき表彰台に立つと、「私ってイケるかも!?」と、嬉しくてたまらなくなりました。

トライアスロンの経験から、水泳もマラソンも年齢とともに体力の限界を感じざるをえないけれど、メカやテクニックに大きく左右される自転車は違うと確信し、ますます自転車にのめり込んでいったんです。

ただ、そのうちに限界も見えてきました。私はゴール前のラスト200mのスプリント(短距離走)に弱かったのです。それが悔しくて悔しくて。

たぶん、相当な負けず嫌いなんでしょうね。私は、1つ年上の兄と一緒に水泳を始めたのだけれど、兄に勝ちたい一心で練習に没頭した結果、1年後には私のほうが上の級に進み、いたたまれなくなった兄が水泳をやめてしまったくらいでしたから。自転車についても、あきらめる気はありませんでした。