競輪選手を目指す若い男性たちに交じって練習を重ねた(右から5人めが高松さん)

片手間では、アスリートとしての成長は望めない

スプリントの弱さを克服したいともがいていたとき、近くの川崎競輪場でトラック競技の講習があるという情報を耳にしました。トラック競技といえばスプリント。迷うことなく飛びつきました。行ってみると、若い男の子たちがわんさかいて、「おばさん、何しにきたの?」といった不審の目の嵐(苦笑)。

けれど、めげずに通い、当時現役の競輪選手だった山本公明さんに指導していただいたおかげで、スプリント力がついていきました。以降、次々と自転車のロードの大会に挑み、その大半で優勝することができたのです。

そうなると、トレーニングも楽しくなってくる。週2回のジム通い、起きてすぐの腹筋・背筋にストレッチ、50kgのベンチプレス挙げ。「絶対にできるわけがない」と思っていたバランスボール上でのスクワットも、何度も転げ落ちているうちにできるようになりました。

最近では、トレーナーの山本ケイイチさんが指導する「サバイバルトレーニング」にも挑戦。60kgのベンチプレス挙げ。60kgのタイヤや切り株を持ち上げる、20kgの砂袋を担いで走るといった訓練なのですが、これがまた楽しいんです。

家事にしても、スクワットをしながら掃除機をかけるなど、工夫してトレーニングの一環にしています。そのほかに、競技のために気をつけていることといえば、「3食きちんと食べる」ことですね。規則正しい食事は、便秘を改善し、無駄な体重を減らしてくれるんです。

こうしたトレーニングと食事で、体脂肪率は17%をキープ。ただ……しだいに、主婦の片手間では、アスリートとしての成長は望めない、と思うようになりました。私は家事も完璧にしないと気がすまないタイプ。家にいると、ほかのことが気になってしまうので、もっと自転車に集中できる環境が必要でした。

そんなときに、1年間寮に入る「女子競輪学校生募集」の告知を見て、「これに合格すれば、自転車だけに力を注げる!」と飛びついたのです。

家族も今は協力的です。もっとも私が最初に、「競輪学校受験を決めた。もし合格したら、1年間、寮生活となるから家事をよろしく」と話したときには、「はいはい、頑張って」と軽い返事をしていた娘たちも、いざ合格を知ったとたん「家事はどうなるの!?」と慌てふためいていましたが。その後、料理方法などを尋ねてくるようになったので、いい修業になるでしょう。夫にしても、「行きつけの居酒屋で教えてもらった料理だ!」などと言いながら、いろいろ作ってくれています。