血管と細胞を強くする食生活のすすめ

認知症リスクを下げるために、近年注目されているのが食生活の改善。

「アルツハイマー型の予防に有効なのが、“マインド食”です」

マインド食とは、アメリカの医療機関が考案した食事法。生活習慣病や心疾患の予防に効果的な「地中海式食事法」と、高血圧予防食「ダッシュ食」を組み合わせたもので、積極的に摂りたい10種類の食材と、避けるべき5種類の食材が、摂取頻度とともに示されています。(食材については次のページ)

「細胞や血管の老化を防ぐ抗酸化食材や、神経細胞を構成し、血流をよくするオメガ3脂肪酸を含む食材の摂取が推奨される一方で、動脈硬化を招く飽和脂肪酸を含んだ食材などが制限されているのが特徴です。アメリカで高齢者を対象に実施された調査では、マインド食をきちんと実践した人のほうが、そうでない人に比べて、アルツハイマー型認知症の発生率が大幅に低かったという結果が出ています」

ただし、これはアメリカでの研究結果。日本人が加えるべき要素として、猪原先生は減塩を挙げます。

「日本人の1日あたりの平均塩分摂取量は、男性11g、女性9.3g。世界保健機関(WHO)の推奨摂取量5gの約2倍です。塩分を摂りすぎると血中の塩分濃度が上がり、正常値に戻すために体内の水分が血管内に取り込まれ、高血圧になります。高血圧が続くと血管内壁を傷つけ、動脈硬化を促進してしまうのです」

マインド食に減塩を取り入れた食事法は次ページから紹介します。アミロイドβが脳に溜まり始めるのも、動脈硬化の心配が出てくるのも40代から。将来の認知症を遠ざけるために、今日から始めませんか。

 

認知症のリスクを下げる食事法

【マインド食】
●地中海式食事法
生活習慣病や心疾患、認知症の発症率が低い、地中海沿岸の食生活を基本にした食事法。穀物、野菜、豆、果物を中心に、オリーブオイルや魚介類も積極的に取り入れる

●ダッシュ食
高血圧予防を目的にアメリカで考案された食事法。野菜、果物、豆、魚介類の摂取を増やし、肉やコレステロールの多い食品を減らすことがすすめられている

【減塩】
厚生労働省は、1日あたりの成人の塩分摂取量の目標値を、男性7.5g未満、女性6.5g未満に設定。「意識的な減塩が必須です」と猪原先生
【認知症のリスクを下げる食事法】