イラスト:おおの麻里
超高齢社会の日本で、認知症は誰もがなりうる病気ですが、多くの研究の結果、動脈硬化を防ぐ食生活に、認知症の予防効果があることがわかってきました。なかでも、「塩分控えめの食事」がカギを握るようです(イラスト=おおの麻里 取材・文=佐藤ゆかり 構成=渡部真里代)

40代からは「マインド食」+減塩

アルツハイマー型も血管性も二大認知症は動脈硬化が招く

長寿化に伴って患者数が増えている認知症。「将来、私も?」と不安を抱えている人も多いのではないでしょうか。認知症にはいくつかタイプがありますが、患者数がもっとも多く、全体の半数以上を占めるのがアルツハイマー型。国立循環器病研究センター脳神経内科部長の猪原匡史先生は、次のように説明します。

「アルツハイマー型認知症は、脳の神経細胞が減少し、脳が萎縮することで発症します。その引き金は、アミロイドβという老廃物が脳に蓄積すること。脳の細胞が働く際にできるアミロイドβは、通常なら短期間で分解され、睡眠中にほかの老廃物とともに脳の外へ排出されます。ところが、40代頃から少しずつ、脳に蓄積されるようになるのです」(猪原先生。以下同)

原因は、加齢によりアミロイドβを分解する酵素の量が減少すること。加えて、血管の老化も一因です。

「正常な血管はやわらかく弾力があり、血流とともに拍動します。その拍動が血管周囲に伝わることでアミロイドβが動かされ、脳の外へ押し出されるのです。ところが、老化により血管が硬くなる動脈硬化が進み、血管の弾力が失われると、拍動が弱くなるためアミロイドβは動きにくくなります。こうして沈着したアミロイドβは、脳神経系に関わるタウタンパク質を過剰にリン酸化させることがわかりました。このリン酸化タウタンパク質が、脳の神経細胞を死滅させてしまうのです」

アルツハイマー型に次いで患者数の多い血管性認知症も、動脈硬化から起こる脳梗塞や脳出血が原因です。脳の血流が滞り、酸素や栄養が不足することで、脳の神経細胞が死滅してしまうのです。

「現在、アルツハイマー型や血管性認知症の進行を遅らせる薬はありますが、根本的な治療薬は開発途中です。そのため、予防が何より大切。動脈硬化の進行を抑えること、脳の神経細胞の老化を防ぐことが、二大認知症を遠ざける近道になるのです」