「年相応」という感覚

高野 アンチ・エイジングのように「若さ」に価値を置くのは、西洋的なのでしょうか。

養老 アメリカですよ。アメリカの文明はかなり特殊ですね。なんであんなに若いのがいいんだろう。僕なんか、若いのはうるさいし嫌ですね。

養老孟司
(撮影:大河内 禎/写真提供:ビジネス社)

高野 中国も、不老不死を言いますよね。

養老 中国は、若返りはあまり言わないでしょう。ゼロではないけれど、「若いのがいい」とはしないですよね。老人を大事にします。

高野 年を重ねても元気で、長老として尊敬される。

養老 そうです。仏教が古くから入っている地域には「年相応」という感覚があります。アメリカ人も少しは「年相応」を入れたほうがいいと思うね。アメリカはもともと、故郷を捨ててきた人たちが「新しい生活を作ることができる」という、ほとんど根拠のない前提で国を作ったから、そういう発想がないんだよね。

高野 自分で世界を作ることができる、という価値観ですね。