アメリカの考え方

養老 リンカーンのゲティスバーグの演説にあるでしょう。「Four score and seven years ago(87年前に)」って。「自由という理念のもとに新しい国家が作られた」。そういう理想をもって国を作ってきた。リンカーンがゲティスバーグで演説したのは、1863年だから、1776年の独立宣言から87年後なんですよ。まだそれくらいしか経ってない。

トランプを見るとよくわかりますね。トランプ個人がどうこうではなく、トランプが出てくるようなアメリカの考え方。「人間は自分一人でもいろんなことができる」という錯覚を与えるように作られた社会システム。別にトランプが何かをしたからといって、物事がうまくいくというものではない。だけど、「そうではなく、世界は勝手に動いているのだ」ということを、彼らは認めたくない。根本的に、「人が何かすることで社会がよくなったり、悪くなったりする」と思いたいんです。アメリカというシステム自体が、そういうふうに作られていますから。

高野 アメリカには、努力をすればどのようにでも自分の人生は拓いていけるといった考え方がありますよね。

養老 うまくいってないのは「お前が悪いんだ」ってことになる。それは、弱肉強食にそのままつながるわけです。今、実際に世界は力で動いているじゃないですか。弱肉強食ですよ。こんな時代は珍しいんじゃないかな。

※本稿は、『“幸せ”よりも “居心地”のよい生き方』(ビジネス社)の一部を再編集したものです。

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“幸せ”よりも “居心地”のよい生き方』(著:養老孟司、高野利実/ビジネス社)

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