2024年に小細胞肺がんを患った、解剖学者の養老孟司先生。2025年3月に再発がんが見つかり、現在も治療を続けています。そんな養老先生と、東大時代の教え子であり医師となった高野利実先生が、約30年ぶりに再会しました。そこで今回は、養老先生と髙野先生が東大時代の思い出やがんとの向き合い方などを語り合った『“幸せ”よりも “居心地”のよい生き方』より一部を抜粋し、お二人の考える「居心地のよい生き方」を対談形式でお届けします。
東大のバカな壁
養老 東大にいた頃は、とにかくアホなことがいっぱいありました。よく言われましたよ、「そんなことしていいんですか」って。あの「いいんですか」は日本独特だよね。
それで僕は「『とあろう者が』と言われたら注意しろ」って、言ってたんです。赤提灯で飲んでると、「東大の先生ともあろう者が」って言われる。世間が勝手に、「こういうタイプの人は、こういう場所に行くもんだ」と決めてるんですよ。
どこで飲もうがこっちの勝手じゃないですか。でも、それが通らないところがある。勝手に決めてるんだよね。決めるところに、俺は参加していないという。
高野 自分でも、そうするのが当然だ、みたいな意識が働いて行動してしまうこともあります。「**だからこうあらねば」という意識が働いてしまって。社会からの圧力ですね。