山野海さん
8月28日から全国の映画館で公開が始まった映画『平行と垂直』。SUPER EIGHT・安田章大さんと俳優・のんさんが、自閉スペクトラム症(ASD)の兄と、カウンセラーとして働きながら兄を支える妹を演じます。同作で原案・脚本を担当したのが俳優の山野海さんです。テレビや舞台でバイプレーヤーとして活躍する山野さんですが、これまでの歩みは平坦なものではありませんでした。家族との間に抱えた葛藤や、脚本や小説を書く思いについて聞きました(取材・文:婦人公論.jp編集部、撮影:本社 奥西義和)

子役だった祖母

私の祖父は脚本家で、祖母・高尾光子は、戦前に子役として活躍した女優でした。

母は20歳で私を産むとすぐに父と離婚し、私は母方に引き取られました。そのころ、祖母も祖父と別居したので、祖母と母と私の女3人で暮らしていたんです。
 
母は小柄な美人で、よくモテた。彼氏がたくさんいたような、恋多き女性でした。母は私を愛してくれていたと思いますが、若かったので子どもが子どもを育てているようなもの。母は恋愛や自分の母親との親子関係に精一杯だったんじゃないかな。

日本映画の名子役と言われた祖母は、戦後、東京・新橋でおでん屋を営んでいました。祖母はうまくいかないことを私にぶつけてくる人で、八つ当たりというんでしょうか。「だらしない」「お前なんか何もできない」って、ずっと言われていました。いわゆる言葉の暴力ですよね。嫌なことがあると、全部私のところに来るような感じでした。

祖母は本当は女優を続けたかったんだと思うんです。でも戦争があったり、いろんな事情があったりして続けられなかったんでしょうね。だから自分の人生に対する悔しさのようなものもあったのかもしれません。