モレーン湖
「モレーン」とは、氷河が山を削りながら運んだ岩や土砂が、堆積してできた地形のこと(撮影:富井義夫)
133の国と地域を旅して、625ヵ所もの世界遺産を訪れている写真家・富井義夫さん。40年以上にわたって世界中を巡ってきた富井さんによる、『婦人公論』での新連載「世界遺産を旅する」。第16回は、「モレーン湖」をご紹介します

地球史が生んだ青碧の湖畔

カナダ

鮮やかなターコイズブルーの湖と、「テンピークス」と呼ばれる10の峰。ここは、「カナダを象徴する風景」として親しまれ、かつて20ドル紙幣にも描かれた場所です。写真のモレーン湖があるバンフ国立公園を含め、4つの国立公園と3つの州立公園が、「カナディアン・ロッキー山脈自然公園群」として世界遺産に登録されています。 

約5億年前、まだ海の底だったこの地で、数千万年かけて地殼変動が起こり、ロッキー山脈となりました。その後、氷河期を経て誕生したのがモレーン湖です。地球の営みが作り出した、手つかずの景観が残っていることが評価されています。 

なぜ湖面がこれほど鮮やかな青色かといえば、氷河が山肌を削る際に生じた微細な岩粉が、水に混ざり太陽光を散乱させるから。この神秘的な色彩が見られるのは、6〜9月頃に限られているのです。