…
100万部突破の『九十歳。何がめでたい』(2016年、小学館 )をはじめ、ユーモアエッセイで長く人気を博した作家の佐藤愛子さん。家族からみた佐藤愛子さんの姿とは。孫の杉山桃子さんがコミックとエッセイで描く『婦人公論』の連載「うちのばあさん102歳」。第17回目は「長生きの孤独」。
※去る4月29日、佐藤愛子さんが102歳で逝去されました。謹んでご冥福をお祈り申し上げます。こちらは、佐藤さんが亡くなられる前に書かれた原稿です。
※去る4月29日、佐藤愛子さんが102歳で逝去されました。謹んでご冥福をお祈り申し上げます。こちらは、佐藤さんが亡くなられる前に書かれた原稿です。
長生きの孤独
祖母は、80代になる頃には既に「死に支度」を始めていた。
『私の遺言』とか『これでおしまい』とか『それでもこの世は悪くなかった』とかいうタイトルも、祖母の一種の死に支度なのだろう。
しかし『私の遺言』から20年が経ってもその時はやって来なかった。
祖母は「どうせもうすぐ死ぬ」と言いながら文章を書き続け、その間に祖母の友人は一人また一人とこの世を去っていった。
