(構成:吉田明美 撮影:本社・武田裕介)
初挑戦の「リーディングドラマ」で多役に挑む
今回は、長野博さんと2人だけで舞台に立つんです。脚本では、主な登場人物だけでも10人以上いるのに、それを2人で演じ分けるので、私も何役か挑戦することになります。宝塚時代と、退団後に何作か2役を演じたことはありますが、どうなることやらです。
長野さんとは2019年に『クイーン・エリザベス』という舞台でご一緒しました。とにかく真面目でやさしい方だなという印象でした。7年経ってもその印象は変わりませんね。今回はどうやって役作りをしていくか、とにかく2人とも必死です(笑)。歌もあるし、ステージングがあって台本を手にしながら動きもあります。私にとって初挑戦なので、長野さんともコミュニケーションを取りながらお稽古に励みます。
主人公忍(おし)ハナという女性は、78歳という設定ですが、「すぐ死ぬんだから」といいながらも年齢を言い訳にせず、着たいものを着て言いたいことを言って、誰よりもおしゃれに気を配り、前向きに「今」を生きています。折り紙が趣味だという穏やかな夫と2人で、平穏な余生を送るはずだったのですが、そこは内館牧子さんの原作ですから、ハナの人生を変えるようなできごとが起こるんですよ。よくこんなことを思いつかれたなあと感心します。
ネタばれになってしまうので、これ以上いえなくてもどかしいのですが、私はこのハナさんの強さ、人間的な大きさに圧倒されました。人生の痛み、哀しみ、喜びなど、驚くほど率直に描かれているのですが、ハナさん、本当にすごい女性なんです! ぜひ劇場でそれを感じていただきたいです。
私がこの「忍ハナ」の役をやることを、内館先生はとても喜んでくださったそうです。うれしいです。残念ながら昨年暮れにお亡くなりになられて、お目にかかることが叶わなくなりました。本当に残念です。直接お会いしていろいろなお話を伺いたかったですし、何よりも舞台をご覧いただいて、どんな感想を持たれたのか、直接お聞きしたかったですね。