「物とじっくりつきあうことを楽しいと感じるようになったのは、年齢を重ねて時間ができたからでしょうね。」(風吹ジュン)
現在発売中の『婦人公論』8月11日号で、表紙に登場している女優の風吹ジュンさん。自粛期間中も退屈することはなかったという風吹さんの話し相手は? 発売中の『婦人公論』から、インタビューを掲載します。(構成=平林理恵)

若い頃はできなかったこと

先日、20年間使ってきた洗濯機の調子が悪くなってしまったんです。電器店の方に見てもらったら、修理するより買い替えたほうがいいと。じゃあ、次はどの機種にしようかと考え始めたのですが、その間も洗濯物は溜まってしまうでしょう。

それで、騙し騙しで古いのを使っていたら、だんだんコツがわかってきちゃった。トントンと叩くと動き出す。給水口から水が出ないときは、手動で水をちょっと流し込めば大丈夫、といった具合です。

それに、子どもたちが幼い頃から働き続けてくれたと思うと愛おしさが募ってきて……。動いてくれる間は使おうと決めました。

思えば、愛着のある鍋も取っ手を取り換えながら、30年以上使っています。こんなふうに物とじっくりつきあうことを楽しいと感じるようになったのは、年齢を重ねて時間ができたからでしょうね。若い頃は忙しくてできなかったことにも挑戦したくて、なんだかワクワクしてきます。