2024年8月上旬 母の納骨で熊本へ。2日間で複数の業者に実家を見てもらう

父が眠るお寺に母の納骨をすませ、翌日、末藤さんと落ち合いました。約2年ぶりに実家に入ったときは、母が暮らしていた6年前とはかけ離れた荒涼とした空間の中で、呆然としました。この家で過ごした日々が、もう遠い過去になってしまったことがショックでした。でも、立ち止まってはいられませんでした。滞在時間は限られています。

私がまず行ったのは、購入時の書類を探すこと。「ここに大事なものは全部入っているから」と母から渡された袋には、実家の権利証はあったものの、購入時の値段がわかる書類はありませんでした。購入時の値段がわからないと売却後の税金がどれくらいかかるか、計算できません

『お金のプロが実体験をもとに導く 実家じまいの最適解』(著:坂本綾子/幻冬舎)

書類がありそうな場所をしらみつぶしに見ていくと、棚の奥に古びた封筒がありました。封筒の表には、「記録のために残す」と鉛筆で書いてあります。母の字でした。

中には黄ばんだ表紙の書類が入っていて、土地の譲渡契約書、抵当権設定契約書、住宅貸付金借用証、登記申請書などが入っています。探していた購入金額を見てみると、私が想像していた金額との差に唖然としました。

抵当権の書類を見ると、返済期間25年の借入金を6年で返し終わっていることがわかりました。返済が終わり、抵当権が抹消されたことで書類を処分してしまったケースも考えられましたが、残しておいてもらえて一安心。実家を売る場合、これらの書類がとても重要だからです。

その後2日間で、不動産会社4社、解体業者、残置物処分業者、そして、測量会社にも実家を見てもらいました。また、実家の荷物のうち母の着物やお茶の道具などをより分け、段ボール20箱分に詰めて東京の私の家に送るように引っ越し業者へ依頼しました。

初日は書類を探すことであわただしく過ぎていきましたが、2日目に少し気持ちの余裕が生まれて近所の様子を見にいくことにしました。すると、私の実家と同じ59年前に建てられた約20軒のうち、空き家だろうと思われる家が5軒もありました。

実は、台湾の半導体製造大手TSMCが熊本に工場を建てたことで人口が増え、周辺の土地価格が上がっているという報道があったので少し期待していたのです。しかし、私の実家エリアから工場までは車で1時間以上かかるため、影響はないようでした。

不動産の価格は需要と供給のバランスで決まります。こんなに空き家があったら、高い値段で売るのは難しいだろうという印象を受けました。