ジョニー野村さんと当時結婚していたのが、後にキャスティングディレクターとして渡辺謙さんをハリウッドに繋いだ奈良橋陽子さん。彼女は日本語より英語が母国語なので、僕の書く英語の詞を直してくれたり、そのうち英語の歌詞を書いてくれるようになりました。

僕はもともとビートルズの歌で英語の発音を覚えたんですけど、彼らはイギリス英語で、しかもリバプール訛り。奈良橋さんからアメリカ風の英語にしたほうがいいと言われて、発音を直しました。大変でした。

ゴダイゴを結成してしばらくは、映画やテレビの音楽、CM音楽、ほかの人のアルバムをプロデュースしたりとか、寝る間もないくらい忙しく過ごしました。

僕たちはプロの音楽家が集まって作ったバンドだったので、当時の若いバンドがやっていたように、自分たちのプロモーションのために、ほとんどノーギャラで日本中をツアーして回るということはできなかった。だからその代わりに、「日本中を自分たちの音楽でいっぱいにする」という計画を立てて働いていました。

そんななか、78年にテレビドラマ『西遊記』の主題歌を担当しないか、という話が舞い込んで──。もしこれがうまくいかなかったら、解散するしかないと思っていました。

奈良橋陽子さんの自宅でミーティング。僕が、「なんか、エキゾチックな言葉を入れてくれないかな」と言うと、奈良橋さんは「私、カナダで教育受けたから、アジアのことはまったく知らないのよ」と困った様子。

そのうち奈良橋さんが急に「そうだ!」と2階に駆け上って大きな美術書を抱えて下りてきた。そのなかに、ヘレニズム文化の影響を受けたガンダーラ仏が。「こういう言葉?」。奈良橋さんが訊いたので、「そうそう。こういう言葉だね」と言ったら、数日後「ガンダーラ」というタイトルの歌詞が送られてきた。

ただ僕としては、『西遊記』のモデルである三蔵法師とガンダーラは関係なさそうだし、大丈夫なのかなぁと心配していたんです。しかしこの曲がヒット。その後しばらくして、学識ある方からお手紙をいただいて。「ゴダイゴの方たちが、玄奘三蔵がガンダーラを訪れていたことをご存じだったとは感心した」という内容だったのでびっくり。