皆さん大好きなオールバック編
オールバックは、ただ後ろになでつければいいと思ったら大間違いです。
むしろオールバックほど、ごまかしのきかない髪型はありません。
なぜなら、己の頭の形が、容赦なくバレる髪型だからです。
ただなでつけるだけでは、頭の形が浮き彫りになって不格好になります。
ですから、ただ後ろに流すのではなく、前から見たときの形に「色をつける」ような作業が必要になります。
例えば、7対3、あるいは6対4くらいに分け目をつけて後ろに流します。
私の場合、最大の敵は「絶壁」です。
オールバックにするときには、この絶壁をどうカバーするかに全集中します。
そしてもうひとつ重要なのが「ハチ」です。
頭の左右にある、張り出した部分です。
ここが広がってしまうと、頭全体が大きく見えてしまいます。
ここは先程のリーゼントネットの力を借りて、押さえ込みます。
絶壁を隠す。
ハチを広げない。
この二つは、オールバックに限らず、男役の髪型を作るときに私がいつも気をつけていたことです。
頭は、意外と主張が強いのです。
そんなオールバックを作るとき、越乃流で大活躍するのが「グリース」。
普段はデップとスプレー。
オールバックのときはグリース。
このグリースというもの、ハードなセット力がありながら、ちゃんとツヤも出ます。
しかも、カチカチに固めるだけではなく、固めたあとにヘアチェンジするとき、比較的動かしやすいのです。
舞台では、一日に何度も髪型を変えます。
一度カチカチに固めた髪を、次の場面のために崩して、また別の形にします。
髪型を作る。
固める。
崩す。
また作る。
これを繰り返します。
固めた髪を次の髪型に変えるとき。
これが、ものすごく痛いのです。
頭皮から血が出るんじゃないかと思うほど、髪が悲鳴をあげます。
下級生の頃などは、どこまで固めればいいのか、さじ加減がわかりませんでした。
「崩れたらどうしよう」
その結果、スプレーを一日1本使うんじゃないかという勢いで噴射していました。
そうして完成した頭は、突風が吹こうが、何が吹こうが、少しも乱れません。
ヘルメットです。
鉄壁の安心安全感です。
