刑事の視点からのコメント

拡散する責任

SNSでは、おもしろそうだから、腹が立ったから、正義感を抱いたから。そんな理由で、ウソの情報が一気に広がることがあります。

『これだけで、逮捕 「知らなかった」では済まされない29の落とし穴』(著:森雅人、監修:足立直矢/PHP研究所)

そして不思議なことに、多くの人は「拡散する責任」をあまり意識していません。「みんなが言っている」というだけで真実だと思い込み、軽い気持ちで拡散ボタンを押しています。

たしかに、その人は最初の投稿者ではなかったかもしれません。文章を書いたわけでもない。写真を撮ったわけでもない。ただ共有しただけ。ただリポストしただけ。

しかし刑事として見ているのは、その情報がなぜ広がったのか、なぜ被害が大きくなったのか、という点です。そのため、発信元だったかどうかは関係ありません

私はこれまで、噂やデマによって人生を大きく変えられた人たちを見てきました。職場に居場所を失った人。学校へ行けなくなった人。家族まで巻き込まれた人。その多くは、最初の投稿だけで傷付いたわけではありません。何百回、何千回と拡散されたことで傷付いていきました。

SNS はとても便利な道具です。私自身も活用しています。だから否定するつもりはありません。しかし、便利だからこそ忘れてはいけないことがあります。それは、情報を広めるボタンは軽くても、その結果は決して軽くないということです。

拡散の前に数秒立ち止まる人が増えるだけで、防げるトラブルはたくさんあります。その数秒が、誰かの人生を守るのです。