「先生!撃ってください! 早く!」

かく言う私も、「コスタリカ」で、あの方が望まれたカメラではなく、カメラに詳しい私なりによかれと思ってレンタル屋から、巨大なカメラとガラスと鉄の塊のような重量級の巨大望遠レンズを借りてきて、「これで綺麗な写真が撮れるんだよ」と自信満々でしたが、「こんな重いものジャングルに持ってって、大泉洋がこれで写真撮れるの?」と言われて「ハッ」とするという。

あのときも、私の選択ミスが、あの方が進もうとしていた道とは違う明後日の方角へ番組を導いてしまった結果、大泉洋がコスタリカのジャングルであまりにも撮影に手間取るもんだから、焦りまくったあの方は「先生! 撃ってください! 早く!」と、およそ撮影とは思えない言葉をコスタリカの密林にこだまさせる。そのたびに場は盛り上がり、あの企画もまたおもしろくなってしまったわけなのです。

『だから僕らは出会わなければならないのです。』(著:嬉野雅道/発行:集英社インターナショナル、発売:集英社)

それを思えば、あの方と出会った我々との「縁」でもって、「よかれと思って」あの方の足を引っ張ってしまうという人間関係が、あの方の勝ちたいようには勝たせず。

その結果、あの方も想定しなかったもっと大きな獲物を釣り上げて場を沸かせてきたという、それが、『水曜どうでしょう』の30年だったようにも思えるのです。