「あなたの好きになさい」と賛成してくれて

2013年からは、共同墓の契約者がSSSネットワークを通じて葬祭業者と契約を結んでおくと、臨終から遺体の安置、死亡届の提出、小さなお別れ会、火葬、納骨までを行ってもらえる「おひとりさま向けの直葬プラン」も始まった。恵子さんの場合、初めに共同墓の費用として約28万円を支払い、その後直葬プランの経費として35万円を支払ったという。

「私の希望を母に話すと、『あなたの好きになさい』と賛成してくれて」

もともと延命治療や葬儀のことまでオープンに話す間柄だったという恵子さん親子。直葬プランについても、「母が会場を見たいというので案内すると、『こぢんまりしていて素敵ね、私もここで見送ってほしいわ』と言うほどでした」。

その後両親を見送り、現在はおひとりさま暮らしの恵子さん。共同墓と直葬プランを契約したことは自筆の遺言書にまとめて自宅に保管し、自分の意思を実現できるように準備しているという。

SSSネットワークの共同墓と直葬プランは、残念ながら現在募集をストップしているそうだが、「おひとりさま」や、従来のお墓のあり方では満足できない人たちの増加に合わせ、こうした試みは今後も増えていくのではないだろうか。


ルポ・「先祖代々」に囚われない私たちのお墓選び
〈1〉〈墓じまい〉で問題噴出!更地にするのに60万、永代供養に100万…
〈2〉おひとりさま女性が「女性のための共同墓」を選んだ理由
〈3〉「死んだら、木の栄養になりたい」夫の一言から樹木葬を選んで