見えてきた新たなメカニズム“免疫”との関係とは?
さらに、これと別のメカニズムで作用する薬の研究も始まっています。「アミロイドβ」と「タウ」以外にも、あることが、アルツハイマー病の発症や進行に関っている可能性が見えてきているのです。
それが何かというと、「脳の免疫」。もともと脳を守るはずの免疫細胞が、アルツハイマー病では脳に悪影響を与える存在になっているのではないかというのです。この免疫細胞の関与は、アルツハイマー病研究の一つの「ブレイクスルー」になっていると感じました。
病気のメカニズムの新たな側面がわかってきたのは、今注目のゲノム解析を活用した研究の成果です。フランスのパスツール研究所は、およそ80万人の人たちの遺伝子を解析し、そこからアルツハイマー病に関係する遺伝子の特徴を調べました。すると、「アミロイドβ」「タウ」だけでなく「免疫細胞」に関係している遺伝子が含まれていることがわかりました。これは、この免疫細胞が何かしらアルツハイマー病の発症に関与していることを示し、脳の免疫とアルツハイマー病の関わりを示す重要な証拠になりました。
多くの研究では「この原因が病気に関わっているのではないか」という仮説を立てて検証を進めます。しかし、このゲノム解析は特定の原因を決めずに、膨大な人数の遺伝子を網羅的に調べる手法。先入観にとらわれない解析によって、アルツハイマー病と脳の免疫との重要な関わりが見えてきたのです。
パスツール研究所 研究ディレクター ジャン・シャルル・ランベールさん
「私たちの研究結果は、免疫細胞の関与を明確に示していました。仮説に依存しない解析によって、アルツハイマー病の病態に関与しているとは知られていなかった新たなプロセスを発見することができたのです。今、アルツハイマー病の研究界は、免疫細胞が病態の進行に明らかに重要であることを理解し、世界中の多くの研究室がこの細胞の研究に取り組んでいます。」
いま、この免疫細胞の驚くべき実態や新たな治療戦略が見えてきていて、最新研究を番組で詳しくご紹介します。