予防医療最前線 アルツハイマー病は防げる病気に?
番組では、最新の予防医療についてもお伝えします。取材の中で、アルツハイマー病の予防にとても熱心に取り組んでいるアメリカ人の女性に出会いました。エレナ・カステラノスさん、57歳です。
エレナさんが取り組んでいる予防策は多岐にわたります。運動(有酸素運動と筋力トレーニングを週3日ずつ)、睡眠環境の改善(起床時間の固定・寝室の光環境の調整)、食事の改善(禁酒・地中海式食材の活用)、脳に刺激を与えるような新しい経験(麻雀や、イタリア語の学習)、そのほか、医師に相談してサプリメントの摂取や、血圧・コレステロールの管理なども行っています。
なぜ、エレナさんは、ここまでストイックに予防に取り組むのか。きっかけは、自身の遺伝的なリスクについて知ったことでした。
エレナさんは、6年前に最愛の父親をアルツハイマー病で亡くしました。68歳で病気を発症し、家族のことを忘れ、自立した生活ができなくなっていく父の姿を見て、エレナさんは深い悲しみを抱きました。それでも、母親と一緒に献身的に在宅で介護を続けました。父の死後、遺伝子の検査をしたところ、自身にアルツハイマー病を発症するリスクが高いタイプの遺伝子があることがわかったのです。
※アルツハイマー病は、遺伝的な背景のみで発症することはほとんどありませんが、発症のリスクを高める遺伝子があることが知られています。
エレナ・カステラノスさん
「結果を知った時は本当に怖かったです。子供たちや夫やきょうだい、そしていつか孫たちにも、私が病気の道をたどっていく姿を見させたくないと思いました。」
何かできることがないかと、エレナさんは予防を研究する機関に自ら連絡を取り、研究に参加することになりました。
実は今、「バイオマーカー」といわれる技術の進展により、血液検査でさまざまなことがわかるようになっています。その技術を使って、「アミロイドβ」や「タウ」などの蓄積量を推計し、予防の効果を検証する試みが行われています。
この研究機関の代表で、20年以上予防について研究をしてきたリチャード・アイザックソン医師は、このような技術を活用していくことで、アルツハイマー病は「防げる」病気になると考えています。
フロリダ神経変性疾患研究所 医師・リチャード・アイザックソンさん
「10~15年後には、私たちはアルツハイマー病を、高血圧や糖尿病、高コレステロールと同じように管理可能な慢性疾患と捉えるようになるかもしれません。
予防には、これをやればいいという“魔法の薬”はありません。リスクを低減させるさまざまなことを組み合わせる必要があります。どんな年齢の人でも、今日、少しずつ変化を起こすことで、これから何年にもわたってその恩恵を受けられます。」
このような血液検査で事前に兆候をつかめるようになることで、アルツハイマー病は、「治す」だけでなく「発症させない」こともできる病気になる未来が待っているかもしれません。
エレナさんは今、前向きな気持ちで予防に取り組んでいます。
エレナ・カステラノスさん
今私がやっていることを続ければ、うまくいけば予防できるか、少なくとも発症を大幅に遅らせることができると思っています。私たちには、その道に進まないように、自分の生活を変えていく力があるのです。
1年間予防に取り組んだエレナさんの結果は果たして…。
番組では、スタジオの専門家と一緒にどんな予防に効果があるのか、詳しくお伝えする予定です。