実際に手相を見てもらうと…
そんなある日、実際に手相を見てもらう機会がありました。
鑑定士さんは、私の手をじっと見ながら、いくつかの線を読み取っていきます。
そして、
「想像力がありますね」
と言われました。
そりゃそうです。
21年間、男役をやっていた人間に、
「現実だけを見て生きてきましたね」
と言われても、こちらが困ります。
舞台の上で、存在しないものを存在させるのが仕事でした。
男になり、警視総監になったり、マフィアになったり、執事になったり、時には人間ではないものにもなりました。
娘がいたり、妻がいたり、愛人も囲っていました。
想像力がなければ、21年も続かなかったと思います。
そう思うと、手のひらの線も、少しだけ愛おしく見えてきます。
他にも、
「人とのご縁がありますね」
「仕事をすることが好きですね」
などと言われました。
そこまでは、「なるほど」と思って聞いていました。
ところが最後に、
「仕事運が強いです。まだまだ一生お仕事されますよ」
と言われました。
……え?
一生?
私は思わず手のひらを見直しました。
探していたのは、
「大器晩成」
「お金持ち」
「幸運」
の線だったはずです。
まさか最後に、「生涯現役」を言い渡されるとは。
どうやら私の手のひらは、私よりも仕事に前向きのようです。
