珠と一緒に夢を見て
『ブラッサム』で連続テレビ小説の初主演が叶うなんて思いもしませんでした。こればかりはタイミングというかめぐり合わせだと感じていて。私は朝のさわやかな画面向きじゃないんだろうな、なんて思っていました(笑)。今回、いろんなタイミングが重なって『ブラッサム』でオファーをいただいたんです。しかも、石橋さんが主人公の作品。彼女とは共演経験があって、ちょうど映画『ナギダイアリー』でもご一緒しました。自分なりに石橋さんを応援したいし、邪魔したくないと思っています。
1つの役を1年という長い撮影期間をかけて演じるのは、すごく大変なこと。想像以上だったのがスタッフの人数の多さです。NHK大阪放送局での顔合わせの日、ものすごくたくさんの方がリハーサル室に集まっていたので驚きました。
<『ブラッサム』は1982年春、80代の珠が自宅で執筆をしている場面から始まる。執筆の合間に、秘書・藤川優子とともに、珠の故郷・岩国に出かけた。錦帯橋近くで珠は取材を受ける。そして、故郷を追われることになった岩国での日々を思い出し…>
私は、80代の珠(加賀まりこ)に寄り添う秘書の優子役です。珠を演じる石橋さん、そして1980年代の珠を演じる加賀さんから放たれるものを見守る役をいただけたことをとても嬉しく楽しく思っています。
優子は珠さんが、自分ではできないようなことにチャレンジしている時に、それを羨ましく思うのではなく、「素敵なことをしている」と捉えられる人。珠を通して、見たことのない景色に触れて、本当なら経験できないようなキラキラした時間を共有させてもらう。嬉しいことがあった時、美しいものを見た時、感動を分かち合える存在として側にいる。秘書としてただ陰で控えているのではなくて、珠さんと好きで一緒にいる。珠さんとともに夢を見ているようなイメージで演じています。
優子のモチーフとなった秘書の方と宇野千代さんは、2人で手をつないで散歩したり、青山の骨董通りを買い物したりしていたと、加賀さんから聞きました。きっといい意味で空気のような、宇野さんにとって、いて当たり前の存在だったのだろうと想像しています。