エネルギーに満ちた、40分に及ぶライブペイントの最後にも、真剣に祈りを捧げる

祈る姿を皆さんに見てほしい

この数年、イスラエルを訪れた際は紛争を間近に感じ、ウガンダでは苦しい状況で生きている子どもたちにも会いました。そのウガンダで、アートで子どもたちの意識を変える活動に参加した際、子どもたちの心がアートで潤い、強く輝くのを目の当たりにしたんです。

お釈迦さまは、人間に必要なものは衣・食・住・薬だと言っておられますよね。ずっと薬とはなんだろう、と考えていましたが、ウガンダの子どもたちを見た時、アートは肉体の病は治せないけれど、魂の薬になるのだと気づいて。たぶんどんな時代にも、戦争や人々が憎しみ合うことはあったでしょう。だからこそ魂の薬として、古代からアートが存在し続けてきたのかもしれません。

何かをクリエイトし、生み出すことを「神業」という言葉で表現することがありますが、本来、ものを創るとはそういうことではないでしょうか。私はいわば憑代のようなもの。大いなる力をいただき、神獣を描くことで目に見える世界と目に見えない世界をつなぐ。それが私の役割だと信じて、日々絵を描いています。

出雲大社を訪れた頃から、私は「祈り」の根源を学びたくて、いろいろな宗教を勉強するようになりました。先生についてユダヤ教を学んだり、毎年、タイの僧院で修行もしています。

ライブペイントも私にとっては祈りなので、描き始める前に、本気で祈る姿を皆さんに見ていただきます。最初にマントラを唱え、第三の目を開く。あとはその場に来てくださった方々のエネルギーもいただき、一気に描き上げます。そうすると、皆さんと祈りでつながることができる。

祈りについて学ぶなかで、徳を積むことの大事さと、積んだ徳はお返ししなくてはいけないということも知りました。ですから絵を描かせてくれているスピリットにも感謝していますし、お世話になった人の名前も毎朝唱えています。

私生活では、妹と犬とチンチラと一緒に暮らしています。妹はキャンバスに塗る胡粉の練り作業を手伝ってくれるので、仕事が少し楽になりました。彼女も一緒にタイに修行に行っていて、祈りを知っている。そういう人でなくては手伝ってもらうわけにはいかないので、すごくありがたい存在です。

今年から、新しい3年のサイクルが始まります。19年は「覚醒」の年。まずは、今まであまりアートに触れてこなかった方々に、アートを身近に感じてもらいたい。そのため、立体になった絵のなかで、狛犬が案内をしてくれるようなVR(仮想現実)の作品づくりも始めました。次の「達成」を目指して、また全力疾走するつもりです。