心身を消耗させる家財の片付け
松本明子 実家を買ってくださったご夫婦に気に入っていただいたおかげで、何とかリフォーム代は回収できました。でも、ほっとしたのもつかの間で、最後にとんでもない大仕事が待っていました。実家には大量の家財が残されていたんですが、それを引き渡し期限の3カ月以内に片付けないといけなかったのです。3カ月あればなんとかなると思ったのですが、忙しい仕事の合間を縫って高松まで行って実家の片付けをするのは想像以上に大変な作業でした。引き渡し期限の間近には、マネージャーさんに、家財片付けのため仕事をあけていただきたいとお願いをして、1週間ほど地元の健康ランドに泊まり込んで集中的にやらざるを得ない状況に追い込まれました。実家は荷物だらけで寝る場所もなかったのです。
和田貴充 いったいどれほど荷物があったらそんなことに?(笑)
松本 両親が東京へ出てくるまでの家財がそのまま手つかずで残っていましたから、それはもう大変な量で(苦笑)。母や祖母の着物や衣類、軍人だった祖父の勲章にサーベル、自称文学青年だった父が買い揃えた百科事典に文学全集、書斎にわんさかため込んだちょっとエッチな本や雑誌の山、私が子どもの頃に使った縦笛や硯、絵や習字の作品、さらには物置代わりに実家に送り続けた私のデビュー以来の衣装やトロフィーまで、次から次へと出てくる出てくる(苦笑)。よくまあこれだけため込んだもんだと呆れました。
和田 昭和一桁は「捨てられない世代」ですから、何から何まで捨てずに取っておく方が多いんです。
松本 まさにそれです! いつのものかわからない引き出物や香典返し、景品でもらったに違いない湯呑みやタオルなどもたくさんありました。
和田 捨てられないんです。
松本 そう! それらの大量の家財を、リサイクルするもの、親戚や友人知人などに譲るもの、それから東京の自宅に持ち帰るもの、ゴミとして処分するものに仕分けしました。最終的に処分した家財は2トントラック10往復以上。計約100万円かかりました。自宅へ荷物を持ち帰るのに東京と高松を飛行機で10往復したので、その費用が、1回6万円×10回=60万円。あと健康ランドへの宿泊費用に10万円かかっています。計170万円。家財の片付けにこれだけかかりました。最後までお金が出るばかりでした。
和田 出費も痛いですが、実家の片付けは体力的にも精神的にもきつくなかったですか?
松本 時間とお金をかけて東京と高松を往復し、一つひとつ捨てるかどうか考えたり、掃除したりするのは、想像を絶するほど大変な作業でした。心身の消耗は激しかったですね。自分の年齢を考えたとき、これがもし5年後、10年後だったら、たぶんやれなかったと思います。すべて業者さんに丸投げだったんじゃないでしょうか。