「しくじり体験」で得た3つの教訓

和田 明子さんが経験された実家じまいの顛末を、かかった費用なども含めてお話しいただいたわけですが、そこから得た教訓というか、こうすればよかったと反省することがあると思うんです。具体的にお話しいただけますか?

松本 いろいろあるんですけど、大きく分けると次の3つになります。

『明るく解決!実家じまい実践BOOK 実家処分・家財整理・空き家活用がよくわかる』(著:松本明子、和田貴充/祥伝社)

(1)「いつか」は来ない
 先延ばしはトラブルのもと。動くなら可能な限り早く

(2) 維持費は雪だるま式に膨らむ
 ちりも積もれば山となる。小さな出費も25年で1000万円以上に

(3) プロに頼む
 自分一人で抱え込まず、早めに専門家に相談する

和田 真っ先にあげているのは、もっと早く実家じまいを考えればよかった、という思いですね。「いつかやる」と思っても、その「いつか」は来ないと(笑)。もっと早い時期に実家の処分を考えるタイミングはあったと思いますか?

松本 父が他界したときから、母と話し合って決断しておけばよかったと思います。

和田 お母さまがお元気なうちに。

松本 はい。父が亡くなったのが2003年、母はその4年後の2007年に他界しています。息子の言葉と空き家を次世代に残す過酷な現実が、私の決断を後押ししたのは10年後の2017年ですから、父が亡くなってすぐに母と話していれば、少なくとも10年は早く実家じまいに動けたと思います。

和田 そうすれば10年分の維持費とリフォーム代をかけずにすみましたね。

松本 そうなんです! 家財の片付けももっと若いうちからコツコツやればよかった……。

和田 でもそれができなかったのは、お父さまの「実家を頼む」という言葉があったからですよね。親の思いというのは、どこまで子どもは受け止めるべきだと思いますか?

松本 いまから思えば、もう少し具体的に聞いておくべきでしたね。

和田 漠然としていた?

松本 半永久的に維持管理をしてほしいということなのか、実家じまいも含めての「明子、頼む」なのか、わからないまま維持し続けることになりましたから。

和田 なるほど。

松本 そこがはっきりしなかったので、どうすればいいんだろう、という葛藤みたいなものがあって、だらだらと実家を維持管理し続けてしまった。

和田 実家に対する親の思いを知る、というのは、実家じまいを進めるうえでとても重要なことですね。

松本 そうですね。親の思いを知るには、聞き方をいろいろ工夫する必要があって、下手をすると、「お前、おれに早く死んでほしいのか!」とへそを曲げかねない(苦笑)。

和田 おっしゃる通りです。