黒崎とはただの上下関係ではなく

(『ブラッサム』/(c)NHK)

――出演が決まったときの感想を教えてください。

『なつぞら』の時もそうでしたが、連続テレビ小説からのオファーというのは自分がうれしいだけではなく、親戚一同、家族みんなに喜んでもらえる本当に光栄なことです。

西尾一路役の染谷(将太)君とは『なつぞら』以来の共演になるので、また朝ドラで会うなんてちょっとおもしろいねと話をしました。

他の映画やドラマに比べて1日で撮る分量が圧倒的に多く、撮影のリズムが速いので、緊張やプレッシャーも感じます。朝ドラのリズムの中にポンと入ってすぐにエンジンをかけられるか緊張しました。

――演じられる山中勇三はどんな役ですか?

まずは、遠藤憲一さん演じる黒崎編集長とのコンビネーションの中から山中の人物像を作っていきました。全くタイプが違う二人ですが、思ったことや感じたことをそのまま言葉と体に出す直感的な黒崎と、それ以外のものを持っている山中はとてもバランスがいいと思います。

黒崎から山中への絶対的な信頼が見えますし、山中も編集長に対して結構ズケズケと物を言うので、ただの上下関係ではなく本当に信頼し合った戦友のような関係なのではないでしょうか。黒崎と対比すると山中は静と動の「静」ですが、いつも冷静沈着な精密機械のようなキャラクターというわけではありません。監督と相談しながら淡々としたセリフに少し肉づけをし、生っぽい言い回しに落とし込みながら役を育てました。細かなところで黒崎さんへの信頼や敬愛がにじみ出る、人間らしい揺らぎが表現できていたらいいですね。

敬語と敬語じゃない時の使い分けが明確なところも、山中の特徴です。珠のような出自やキャリアの作家でも認めたらパッと敬語に切り替えますが、編集部員などにはまだ敬語ではありません。きっと山中なりのルールがあるのでしょう。意外とこういう部分が人間臭さにつながるので、大切にしています。敬語を使うのは作家への敬意はもちろん、自分の仕事や文学に対する山中なりの情熱の表れでもあると思います。