イラスト:泰間敬視
何ごともほどほどが一番──とは言うけれど、健康にいいと聞くとやめられなくなるのが人間の悲しい性。やめどきを見失った自称「通」たちのトホホな結果とは(イラスト=泰間敬視)

《佐藤京子さん(52歳)の場合》

1ヵ月に通算450キロ走ったことも

メーカーに勤務する佐藤京子さん(仮名)はダイエットを目的にマラソンを始めた。その取り組み方は「なぜそこまで?」と思わず後ずさりするようなストイックさだ。

「45歳でマラソンにハマって以来、土砂降りの日も休まず走っています。走らないことには1日が終わった気がしないんですよね」

彼女がマラソンに興味を持ったきっかけは、会社の同僚が東京マラソンに出場したこと。運動が得意そうではない人が42.195キロを完走した姿を見て、うらやましくなったのだそう。

「その同僚が翌年に湘南国際マラソンに出場すると聞き、私も一緒に走らせてもらうことにしました。年齢のせいか太りやすくなってきたし、体力の衰えも感じていて、そろそろ何とかしなければと思っていたので。スポーツジムなどにも通っていなかったため、まずは家の近所を走り、体を慣らすことから始めました」

走るのは仕事を終えて帰宅してから。毎晩1~2時間ほど走る。残業で帰宅が遅い時は、夜中の12時にスタートして20キロの距離を走ったこともあったという。その甲斐もあって、体重は3ヵ月ほどで7キロ落ちた。

「頑張った分だけ結果が出て、嬉しかったですね。だからこそ、走ることをやめたら太るかもしれないという恐怖心も芽生えて……。マラソンは、3日休むと積み上げてきたものがチャラになってしまうと聞いて、ますます毎日走り続けないと、と思うようになり、過去最長で、1ヵ月に通算450キロ走った月もありました」