“助さん”を演じながら子どもたちと絆を育んだ10年

以来、僕の人生のテーマは「自由」。都会よりも自然を感じられる場所へ行きたいという欲求が強くなりました。その後、日本各地の秘境の温泉に惹かれるようになったきっかけでもありますね。温泉は地球からの贈り物。そう思うから、いつも「いただきます」と言ってからお湯に入るようにしているんです。

10年つきあった妻と結婚したのは31歳の時です。長くつきあうほどプロポーズのきっかけがわからなくなってきちゃって。でも、10年という一区切りで僕も腹を決めました。翌年、長男が生まれたのですが、ちょうどその時に『水戸黄門』の助さん役の仕事が決まったんです。

撮影は京都の太秦で行われるので、家族で京都へ移ろうと決めて、撮影所近くにマンションを借りました。京都で暮らした7年の間に長女も誕生。僕は自転車の前に娘、後ろに息子を乗っけて幼稚園へ送ってから撮影所に向かいました。

子どもたちは、夏には小川で裸で泳いだり、芝生を裸足で駆け回って木登りをしたり。そんな自然の溢れる環境で子育てをしました。『水戸黄門』が終了した後は、埼玉県浦和の実家のそばに家を建てて暮らすことを決意して。蛇も出るし、カブトムシも飛んでくるんですよ。

長男はいま、サッカーに夢中で、クラブチームに所属し、ゴールキーパーとしてプロ選手を目指しています。長女は中学に入ったらバスケ部に入りたいそうです。僕は、挨拶をしっかりすることと感謝の気持ちを持つことが一番大切だと思っているので、それだけは彼らに伝えていますけど、あとは甘い父親です。

ただ、洋服は脱ぎっぱなしにせず洗濯機に入れろとか、そういうことは言いますよ。ちっとも守らないけど、1度でできないのが子どもですから、こちらも挫けずに何回でも注意します。子どもは親の背中を見ていると思うので、僕はどんなに疲労困憊で帰ってきても「疲れた」とは言わないし、ネガティブな言葉を一切口にしないようにしています。