古関裕而と妻・金子(写真提供:古関裕而の長男・古関正裕さん)  
NHK連続テレビ小説『エール』で、窪田正孝さんが演じる主人公・古山裕一のモデルは、名作曲家・古関裕而(こせきゆうじ)だ。ドラマではインパール作戦に従軍した古山が、森山直太朗演じる恩師・藤堂清晴先生に出会う。遺族にも取材して古関の評伝を書いた刑部芳則さん(日本大学准教授)によると、藤堂先生のモデルとなった人物もいるそうで……

※本稿は、評伝『古関裕而 流行作曲家と激動の昭和』(刑部芳則・著/中公新書)の一部を、再編集したものです

私の作曲の芽ばえには、この先生の影響が大きかった

森山直太朗演じる藤堂清晴のモデル・遠藤喜美治(きみじ)とは、古関裕而が大正5年(1916)に入学した福島県師範附属小学校で出会う。

3年生から6年生のときの担任遠藤は国語と音楽が専攻で、作文の時間には童謡を作らせ、音楽の時間にはその優秀な童謡に曲をつけさせたり、遠藤が作曲した曲を歌ったりした。古関は、「私の作曲の芽ばえには、この先生の影響が大きかったのである」と述べている。

古関は童謡の作曲が楽しくてしかたなかった。古関はクラスでおとなしい存在であったが、作曲の時間になるとクラスメイトが作詞を持ってくるようになり、他人の分まで曲をつけたという。

福島県師範学校附属小学校5年生(大正9年)の写真。中段に古関が、最上段に恩師・遠藤喜美治が見える(写真提供:古関正裕さん)
古関夫妻の長男・古関正裕さんの著書『君はるか 古関裕而と金子の恋』集英社インターナショナル