感情を優先して怒ってもいい

親より責任が軽く、「きちんと育てなきゃ」というプレッシャーがないぶん、子育て中には見えなかったことが見えてきたりします。たとえば、孫の行動が腹に据えかねたとき。もし私が親だったら、教育として叱らなくてはなりませんが、祖母は違う。「ばぁばは、それが許せない!」と、自分の感情を優先して怒ってもいいのです。

先日、孫の1人が、私との約束を2度続けて破ったんですね。「何時になったらゲームをやめる」というものでしたが、めったに怒らない私でも腹が立ってしまって、「ばぁばのことをバカにしているの?」と怒りました。

やりすぎたかなと後で反省しましたが、孫の母親からは「お義母さん、怒ってくれてありがとうございます」と言われ、孫はこたえたようで、以後、約束を守るようになりました。

親は育児を放棄することはできませんが、祖父母は違います。孫の世話があまりに重荷で疲れてしまうようだったら、いったん距離をとってはどうでしょうか。孫のために、子どものために、と頑張ることは素晴らしいです。けれどそれが重荷なら、いったん下ろしてしまう。

私だったら、「しばらくは来ないでね」と、子どもと孫にはっきり伝えると思います。長い子育てからせっかく解放されたんですもの。もう「自分主体」で生きていいんじゃないでしょうか。

孫と過ごす時間が楽しく幸せであっても、疲れるばかりであっても、孫がいるからこそ学べること、考えられることがあると思います。そのときに大切なのは、「私」を真ん中に据えること。私にとっての孫、子ども、夫……。自分を優先してものごとを見れば、「おばあちゃんだからこうしなければ」「孫に対してこうあらねば」などと義務感を持たないですみます。

孫がかわいいからと、思ったことを言わずに呑み込んでしまうよりも、「私はこうしたいからこうする」と子どもに率直に言える関係のほうが、ずっといいと思いませんか? 私たち祖父母世代に残された時間には限りがあります。孫育てにその多くを捧げてしまうなんて、もったいない! 振り回されすぎずに、適度な距離で付き合っていきましょう。