「毎年夏は子どもたち3家族がうちに大集合するのが恒例行事。合宿所か幼稚園みたいな状態で、三食食べさせて寝かせるだけでも重労働です。」(撮影:渡邉智裕)
岡山県の山間に暮らす作家のあさのあつこさんの自宅には、県内や東京に住むお孫さんたちがしばしば訪れます。例年、夏休みには3家族16人が大集合し、さながら合宿所のようになるそう。《小さい人》たちと過ごす時間を通して、あさのさんが気づいたこと、変えていったこととは──(構成=平林理恵 撮影=渡邉智裕)

《お客さん》扱いをして疲れ果てた

私には3人の子どもと、1歳から小6まで10人の孫がいます。長女は車で5分の同じ町内に、次男は同じ岡山県内ですが50キロほど離れたところに、そして長男は東京に住んでいます。

今日もこれから長女が孫を連れてうちに来ることになっているんですけど、もう、便利に使われていますね(笑)。孫2人を予防接種に連れて行くとかで、残り1人は「ばぁばのおうちで待っててね」ということに。長女は週に3日はうちに来ていて、冷蔵庫も強襲されています。(笑)

次男のところの3人の孫も以前は月に1度は訪ねてきていたし、長男のところの4人も、夏休みと年末年始にやってきます。今年は新型コロナウイルスの影響で集まれませんでしたが、毎年夏は子どもたち3家族がうちに大集合するのが恒例行事。合宿所か幼稚園みたいな状態で、三食食べさせて寝かせるだけでも重労働です。

振り返れば、数年前までは、迎える側としてサービスしなくては、と一所懸命にやりすぎました。「ばぁば、楽しい。ありがとう」なんて孫に言われると、やる気も出る。あそこへ連れて行って、こうやって遊ばせたらきっと喜ぶはず、と考えて気分がたかぶります。年に数日のことであれば、興奮状態で乗りきれるでしょう。けれど、数週間も滞在されるとなると……はりきってばかりでは心身ともに疲れ果ててしまうんです。

「これは孫がいるからこその疲れだから」と前向きに捉える人も少なくないと思います。でも、私はそうではなかった。せっかく孫が来てくれたのに、疲れや不満が残ってしまう。これはあまりにもったいない気がしたんです。

それで、あるときから「そんなにサービスしなくてもいい」と考えを改めました。《お客さん》ではなく、しょっちゅう来るし、長い時間、生活をともにする人たちだから、こちらも普通にしていよう、と。