ヨガの3つの柱「呼吸、ポーズ、瞑想」

「ヨガでは、呼吸、ポーズ、瞑想という3本柱が重要な要素となっています。まず基本はゆったりした深い腹式呼吸。特に息をしっかり吐くことで自律神経のうち副交感神経の働きを優位にし、心身がリラックスします」

自律神経が整うと、胃腸の働きが活発になり、便秘や下痢が治まるなどの効果も期待できるのだとか。

「ヨガのポーズは呼吸とともに行われ、吐く息でひとつの動き、吸う息で次の動きへ、というように交互にプログラムされています。呼吸に合わせてゆっくりとポーズをとることで、筋肉のこりと緊張をほぐし、血液循環が促されて手足の冷えや肩こりを緩和する作用も。瞑想は奥が深いのですが、初心者は『今』に気持ちを集中することと捉えてください。ヨガでは呼吸とポーズに意識を向けるため、瞑想と同様、自然と『今』に集中することになり、深いリラックス効果や集中力の向上、ストレスの軽減につながります」

ヨガを続けると、心を落ち着かせる作用のある脳内の神経伝達物質、GABAやセロトニンが増えるという研究報告もあるそうです。

「運動が苦手な人も、ヨガなら自分のペースで体への負荷や難易度を選べるのが利点。激しい運動ではめまいやほてりが一時的に出やすくなることもありますが、ゆっくりとした動きのヨガなら安心です。さらに、女性ホルモンの減少で衰えがちな血管の弾力性や骨密度の維持なども期待できます」

そして、何より大切にしてほしいのは、「ヨガを通して自分の体と心にじっくり向き合うひと時」だと、高尾先生は言います。

「更年期は、子どもの巣立ちや親の介護などで多忙になりがち。ゆとりのない生活は、いっそう更年期症状を加速させてしまいます」ヨガは、女性が溌剌と人生のセカンドステージへ向かう水先案内人となってくれそうです。

 

更年期症状の軽減にホルモン補充療法やサプリ、漢方薬の活用を

婦人科では、減少する女性ホルモンを、飲み薬や貼り薬などで外から補う「ホルモン補充療法」を受けることができます。必要最低限のホルモン量を数年間補うことで、諸症状を抑える治療です。

一方、日常生活の中で取り組めることとして注目されるのはエクオールの摂取。大豆製品に含まれる大豆イソフラボンから、特定の腸内細菌の力を借りて作られる成分で、化学構造が女性ホルモン(エストロゲン)と似ており、更年期の諸症状緩和が期待できます。エクオールを産生する腸内細菌を持たない人もいるので、エクオール配合のサプリメント活用が確実。

また、生体バランスを整え、自然治癒力を高める漢方薬も更年期障害の治療法として定評があります。