愛用の時計まで売り払った冬の時代

魔夜 僕の人生は外からは順風満帆に見えるらしいんだけど、とんでもない! ある時期から本が売れず生活費にも事欠くようになって、冬の時代が続いたこともありました。

マリエ リーマン・ショックの後でしたね……。

魔夜 80年代に『パタリロ!』がアニメ化された頃、宝石だの貴金属だのを買い込んでいたんだ。でも、お金に困るようになって仕方なくそれらを全部手放して、愛用の時計まで売り払った。とうとう売るものがなくなって、さあどうしようと途方に暮れていた時に、30年以上前に描いた『翔んで埼玉』が単行本になってヒットしたんだよ。おかげさまで借金も全額返済できて、今に至るという。起死回生の一作になった。

マリエ 本当にラッキーでした。

魔夜 基本的に、僕は運と直感だけで生きているから(笑)。しかもその時は不思議な体験もしていてね。まず「1つあるぞ」と、神様の声のようなものが聞こえたんだ。そうしたら『翔んで埼玉』の大ヒット。しかもその3日後に、「今度はすごいぞ」と聞こえた。3日後ってことは3年後に何かあるのかな、と。その19年に2作の映画公開が決まった。

マリエ 神様の声、当たる! いろいろあったけど、45年もファンに愛されて、周囲に支えてもらえて、峰央さんは、本当に幸せだよね。娘としては、父親が仕事をする背中を見てこられたのも良かった。私も2冊、3冊と出せるように精進します!

魔夜 僕はとりあえず『パタリロ!』を続けていく。目標は200巻。だからあと40年かな。そのほかには今、ある極秘プロジェクトを進めていて、結果が近いうちに出るかどうか。もしうまくいったら相当すごいことになると思うから、楽しみにしていてください。19年は僕の最強の年だとわかっているので、今年はやりますよ。 


魔夜さんの極秘プロジェクトとは… 

初の絵本作品『けい君とぼく』