「だいたい私たち戦争経験者は、戦時下を思えば、多少のことでびっくりしません。つらいときも生きていさえすれば、最後にこうして楽しい日々を送れるのだと思います。」

 

「リトミック」との出会い

私は学校で幼児教育を専門に学んだわけではないから、ほかの保育士さんから最新の知識を分けてもらうのがとても刺激になります。特に思い出すのが、「リトミック」との出会い。

音楽を使った情操教育ということで興味を持っていたのですが、東京の音楽大学で行われる研修の案内がきたときは、私はもう40過ぎ。「きっと若い人たちばかりよね」と1年目は見送りました。でも翌年同じ案内がきたとき「今年も諦めたら、また1つ年を取るんだわ!」と勇気を出して参加することにしたんです。

講習がはじまってみると、何だか懐かしい気がして。実は3歳で師事した石井漠先生は、日本にリトミックを紹介した方でもあったんですね。以来、リトミックの面白さに魅了されて、毎月レッスンに通うようになりました。現在も高崎の教室で月に一度、楽しく体を動かしていますよ。

園の子どもたちも、リトミックの時間が大好き。私がピアノを弾くと、自由に体を動かして、お友だちとポーズを決めてみたりね。いまは週1回、5歳児さんのクラスで教えていますが、私の体調が悪くて休んだりすると、本当に残念そうな顔をしてくれるんです。

リトミックの前には、絵本を2冊読みます。園では絵本を大事にする、というのが教育の基盤にあるので、講習会や研修会に通ってずいぶん勉強しました。月に2回は語り(素話)もします。語りはいいですよ。本を見ずに、子どもの表情を見ながら直接お話できますからね。ケガをする前は、毎日の園までの行き帰りを語りの練習に使っていました。片道15分は、ちょうど1話分にぴったりなのね。

ほかには、園の事務所で電話番や経理の仕事もします。保育士たちが、日々のエピソードを書いてくれる日誌も楽しみ。それに感想文を書くのも、大変だけれどやりがいのある大好きな仕事です。