高峰温泉からの雲海。この世のあの世(写真提供:末井さん)

善人なおもって往生を遂ぐ いわんや悪人をや

つまり、死ぬときは脳内麻薬みたいなものが出て、気持ち良くなるのではないかということです。医学の知識があるわけではないので憶測ですが。

肉体的に気持ち良ければ、精神的には恐怖や不安や緊張感がなくなり、穏やかな気持ちになるはずです。その状態を極楽と言ったり天国と言ったりしているのではないでしょうか。

つまり、誰でも死ぬ瞬間は極楽浄土に、あるいは天国にいるということです。三途の川を渡って閻魔様から善行悪行の審判を受け、「お前は地獄行きじゃ」と言われたら永久拷問みたいな罰を受けなければならないというのは、「善行をしなさい」という戒めのためにつくられたフィクションです。

「善人なおもって往生を遂ぐ いわんや悪人をや」という親鸞の有名な言葉があります。「善人でさえ浄土に往生出来るのに、まして悪人は言うまでもない」という意味ですが、善人であろうが悪人であろうが、死ぬ時はみんな気持ち良くなって、不安も恐怖もなくなって浄土に往生出来るということではないでしょうか。

「いい加減なことを言うな」と怒られそうですが、そう思っていれば、死ぬ時の恐怖や不安は和らぐと思います。みんな死ぬ瞬間が恐いのですから。

まだ内視鏡検査の結果を言ってなかったですね。まず胃の方ですけど、だいぶ爛(ただ)れていました。ピロリ菌のせいではないかということで、ピロリ菌を調べてもらったらいました。早速抗生物質で退治しました。

大腸の方の結果はガンでした。自宅に院長先生から電話があったのですが、ぼくは会社に行っていたので妻の美子ちゃんが出ました。美子ちゃんは院長先生からガンだと聞いて、すぐに電話をかけてきました。ぼくがその電話に出た時、「ぼくをガンにしないでくれよ」と言ったそうです。どういう意味なんですかね。2人に1人がガンになる時代なのに、まさか自分がガンになるとは思ってもいなかったということです。自分が楽天家ということもありますが、案外みんなそうなのかもしれません。