「自分の領域が侵されて危険を感じたり、相手に不快感を抱いたりした時に、私たちは怒るんです。」(中野さん)

怒らない人の脳内はどうなっている?

中野 お子さんたちの性格がまったく違うんですよね。接し方は変えていますか。

高嶋 長男は、注意したことが右から左へ抜けていくタイプ。本人もほとんど怒らない。対して2つ下の次男は繊細なので、叱ると「僕が悪い」と全部受け止めて、自分を責めてしまうんです。

中野 上のお子さんにガツンと言わなくてはならない時は、どうしているんですか。

高嶋 昨日は思わず怒鳴っちゃったけど、正直まったく効果がないんです。成績が悪いことを叱る時には、留学先の先生から「このままだと君は退学になるよ」と伝えてもらうか、学費の明細を突きつける。事実をありのまま見せるのが効きますね。下の子は不安傾向が強いので、叱ると同時に励ましながら。言葉を選んで伝えます。

中野 なるほど。お父さん譲りなのは、長男さんですか。

高嶋 そっくり。二人が怒らないのは、周囲に期待をしていないからだと思う。そういう人の頭の中は、どうなってるんですかね。

中野 私たちが怒りを感じる時は、脳内でアドレナリンやノルアドレナリンという物質が分泌されて、興奮状態になります。怒らない人は、体質的にアドレナリンがあまり出ないんでしょう。

高嶋 ただ、時々「怒ってるよね?」と思うこともあって。そういう時の夫は、笑いながらも辛辣なコメントを口にする。当事者にぶつけることはしませんが。

中野 うまいやり方だと思います。高嶋さんが笑いを利用したように、怒りを皮肉に変えている。