親との関係が良好な最近の20代に話を聞いていて、気付いたことがある。彼らの親は、子どもの選択を一方的に批判したり、茶化したりすることがない。カウンセラーとまでは言わないが、基本的に傾聴の姿勢を保っている。反対するときにも、対等に意見する。

よく考えれば当たり前の話だが、ろくに話も聞かず否定する人や、からかいばかりが先に立つ人に心の内を話したくなくなるのは、子どもも同じなのだ。親子関係が良好ないまどきの親は、不均衡な権力を盾に、子どもに恥をかかせるようなことをしない。それだけが理由ではないものの、仲良し親子の一因としてはあると思う。

かく言う私も、いま考えるとゾッとするほど心配させることを天真爛漫に母親に伝えたとき、困惑顔の母が発した「あなたが幸せならそれでいい」という言葉にいまだ支えられているところがある。無批判に受容された安心感が、私の自尊感情を育てた。あれは「甘い」というのとは決定的に違った。

いまの20代の親は私とほぼ同世代なので、自分の昔を思い出し、反面教師にしているのかもしれない。やられたことを無自覚に繰り返すのが人の業だと思っていたが、そうでもないのかも。

常に祝福され育ってきた20代をうらやむとともに、老婆心ながら心配事もある。彼らが社会に出たら、頭ごなしに否定したり、からかったりと恥をかかせる悪い大人がわんさかいるからだ。

なにかと弱いと言われる世代だが、そりゃ心も折れるよなと、少し同情もする。


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年齢を重ねただけで、誰もがしなやかな大人の女になれるわけじゃない。思ってた未来とは違うけど、これはこれで、いい感じ。「私の私による私のためのオバさん宣言」「ありもの恨み」……疲れた心にじんわりしみるエッセイ66篇