整然な植物園、異様にグニャグニャした動物園

さて、ジャルダン・デ・プラントの動物エリアはどのようにデザインされていたのだろう。

ヨーロッパでは動物をカテゴリーごとに分類し、学名をつけて正確に理解しようという動きがあった。

ならば、ジャルダン・デ・プラントも、生きた動物たちを分類にしたがってすっきりした空間で展示するのがよいはずだ。そうすれば動物たちは、過去の怪しげな神話の世界から切りはなされ、「科学的に」理解されるはずである。ところがここでもジャルダン・デ・プラントは、政治と無縁ではないことを実証した。

図をみてみよう。これは1823年当時の同園を上からみおろしたものだが、動物が飼育されていたのは左側の敷地である。右側は植物園だ。両者を比較してすぐに気づくのは、植物がまさしく表みたいに整然とならべられているのにたいして、動物は異様にグニャグニャした敷地で飼われていることだ。

ジャルダン・デ・プラント上面図(1823)

こんなふうになったのは、ジャルダン・デ・プラントに動物がくわえられたのが革命期だったせいだ。以前、動物が飼育されていたのは、ヴェルサイユ宮殿のメナジェリーであった。そこでは、王がすべての統率者であることを示すために、中央にパビリオンが配置され、まわりを幾何学的なかたちの飼育場が囲んでいた。しかし革命期の市民たちは、こうしたデザインを嫌った。

そこで、建築家ジャック・モリノ(1743~1831)は、市民たちの「自由」をあらわす、中央がなくてぐねぐねした道からなるデザインをあみだした。建物は、木、枝葉、ワラ屋根からなりたっていて、牧歌的な雰囲気だった。