皮膚のバリア「衛気」で寒さをはね返す
外気の冷たさや、冷たいものの摂りすぎ、運動不足、もともとの虚弱体質、古傷などが、冷えを引き起こす原因です。特に寒さが増すこれからの時季は、からだの中に冷えを取り込まないことが肝心。カギを握るのは、「衛気(えき)」というバリアです。
「東洋医学では、皮膚の表面に衛気のバリアが備わっていて、寒さや暑さ、湿気、乾燥からからだを守ると考えられています」
衛気は、体調により日々厚さが変化するのだそう。
「衛気には腎気が深く関係していて、腎気のパワーが十分だと、衛気も厚くなって冷えをはね返せるのです」
もともと冷え性だったり、体調を崩していたりすると、衛気が薄く、からだに冷えが入り込みやすくなってしまいます。自覚がなくても、手のひらで手足や腹部などに触れてみると、実は冷えていることに気づくかもしれません。
「まずは、自分のからだのどこが冷えているのか確認してください。そして、冷えている部分をしっかり温めること。その際に大切なのが、自分の心地よいという感覚です。私たちのからだは日々変化していますから、温度や温める時間などの一定条件よりも、自分の快・不快の感覚を信頼してほしいのです。そうすれば、冷えで低下した腎気のパワーもだんだんと上がるはずです」
冷えが初期段階であれば、手足などの末端が冷えています。
「女性は男性に比べ筋肉量が少ないので、からだの末端まで熱が届かず、手足や足先ほど冷えやすいからです」
さらに冷えが進むと、足先からふくらはぎや太ももまで冷たくなる《下半身冷え》に。
「運動不足や座ったままの姿勢が続くと骨盤まわりの血流が悪くなり、下半身全体が冷えてしまいます」
おなかに触れるといつも冷たいという人は、内臓まで冷えが入り込んでいる可能性も考えられます。そのまま冷えを放っておくと、《ほてり冷え》に。
「ほてり冷えは、からだの中が冷えているのに、ほてりを感じてしまう状態。特に更年期の人に多い症状です。改善するには、規則正しい生活を心がけるなどして自律神経を整え、まず自分が冷えていることを自覚する必要があります」
冷えを改善する生活習慣やつぼ療法などの具体的な方法は、次ページからお伝えします。