ここからの10年は、老後の過ごし方につながっていく

小林 板谷は昔習っていたんでしょ。息子もやってるの?

板谷 上の子が習っています。毎年、発表会のとき親子連弾をやってきたんだけど、思春期になったら突然嫌がられちゃって、もう私の出番はありません。聡美さんも発表会に出るんですか。

小林 このまま習い続けたら、そういうことになるのかなあ。

板谷 めちゃめちゃ緊張しますよ、発表会。

小林 だと思う。だって、レッスンのとき、先生に見られているだけで緊張して上手に弾けないんだから。大丈夫かなあ。

板谷 練習あるのみですよ。

小林 だね、頑張る。なんか音を出してるだけで幸せなのよー。夢中になってピアノを弾いていると、時間を忘れるというか我を忘れる。我を忘れている瞬間って、人間にとって幸せなんだと思うなあ。何もしないでぼ~っとしているときも、我を忘れているでしょ。あれも幸せの瞬間。

板谷 わかるそれ。夕日の美しさに茫然としているとき、幸せです。

小林 コロナ禍でさまざまな制約があった2020年が終わり新しい年がきたわけだけれど、板谷はこれから先どんなことをやりたいと思っているの? ちょっと先を見よう。10年くらい先、何をやりたい?

板谷 息子たちの手が完全に離れたら、留学したいです。ダンナをおいて一人で晩年留学。

小林 いいねえ。

板谷 10年後だと下の子がまだ高校生なので難しいかな。でも、12~13年後には、2人とも成人するから、57歳か58歳、遅くても60歳までには実現させたいと思っています。聡美さんは? これから先、やりたいことはなんですか?

小林 私は自然豊かな土地で暮らしたいなあ。板谷の10年後は、まだ今の延長線上だろうけれど、10歳年上の私にとっての10年後は結構リアルな問題。これから先何をしたいか? という質問は「老後をどう楽しもうか」って話なのよ。そう考えるとね、やっぱり自然の豊かなところに居を構えたい。

板谷 新しい土地に住むなら、冒険できる年齢のときに行けっていいますよね。

小林 うん。私の尊敬するアメリカの絵本作家、ターシャ・テューダーは57歳で田舎に引っ越して、自給自足の生活を90代まで続けた。それを考えると、57歳くらいがいいのかな。

板谷 うちのあたりいかがですか。引っ越してきてくださいよ。

小林 いいね(笑)。空き家バンクとかもチェックしているんだけど、なかなかないのよね。

板谷 探せばきっとあります。いい家を今から探して、57歳までに田舎暮らしスタート!

小林 うん、考えるだけでワクワクしてきた!