一気に夢中になってはやめてしまうのは

60歳を前にすると、女性は身体が重く感じたり、イライラしたりすることがあります。私も同じでした。けれどもレッスンに行くようになり、どっと汗をかくとなんともいえない清々しい気分になりました。

正直あと10年早く始めていたら……と思います。まず体力がもっとあっただろうし、ステップを覚える記憶力も違ったはず。せっかくノートにメモしても、家に帰って見返したらさっぱり思い出せないことも多々ありました。

また1回レッスンを休むと体が重くなり、ステップも忘れてしまいます。私のようなシニア世代のレッスンは進むのも遅いですから、若い子たちを教えていたほうが楽しいでしょうに、と先生の気持ちをおもんぱかったりもしましたが、レッスンが楽しいことに違いはありませんでした。

結果的にこのインド舞踊のレッスンには3年通いました。退会した後も忘れられないのは、「舞踊の上達だけではなく、日常の所作も美しくなってほしい」という先生の言葉です。せめて日頃の姿勢や指の動きだけでも美しくありたい、といつも心がけています。いまは新型コロナの感染拡大もあり、残念ながら習い事全般をすっかりやめています。

振り返ると、いつもそのときどきで気になったものに夢中になることを繰り返してきました。5年間習った津軽三味線は、私にしては長く続いたほう。フルートや和太鼓の教室にも通いましたが、それぞれ数年で挫折。さらにはワークショップでお琴を半年弱……。

一気に夢中になるものの、その後だいたい数年でやめてしまうのは、何でも新しいことをやってみたい性格と、飽き性が大きな原因でしょう。何事もひとつのことを極める人を心から尊敬しています。

情けない体験談になりましたが、今後も、何か素敵な音色を耳にすると興味を引かれてしまう性格はずっと変わらないだろうな、と思う今日この頃です。


※婦人公論では「読者体験手記」を随時募集しています。

現在募集中のテーマはこちら

アンケート・投稿欄へ