いよいよ物語が盛り上がってきた大河ドラマ『麒麟がくる』。ついに最終回で「本能寺の変」が描かれる。明智光秀(演:長谷川博己)と、織田信長(演:染谷将太)のぶつかり合いが見ものだ。そもそも、信長と光秀の関係性はいかなるのものだったのか。『明智光秀』(中公新書)を著わした福島克彦(大山崎町歴史資料館館長)さんが、史料から分析する
光秀は信長から多大な恩賞を得ていた
明智光秀は信長にとって譜代の家臣ではない。
しかし上洛後、早い段階から信長に見出され、将軍足利義昭(演:滝藤賢一)と信長の間を調整する特別な存在感を示した。第三者的立場に立つことが必要で、他の織田家の部将たちでは務まらない役回りであった。
信長は義昭との対立が明確となった元亀3年(1572)においても、光秀を応援するようになってきており、彼に対して特別な信頼を寄せていた。天正2年(1574)と想定される7月29日付の光秀宛の信長書状(『細川文書』)には、光秀からの報告を受けて「具(つぶ)さに候へば、見る心地に候」と評している。具体的で見えるような内容だというのである。
翌3年には、信長は朝廷に対して、姓と官途を受けられるよう推薦しており、彼を評価していた様子がわかる。のちに、羽柴秀吉(演:佐々木蔵之介)や柴田勝家(演:安藤政信)も、光秀が信長から多大な恩賞を得ていたと述べており、周囲も彼が信長に重用されていたと認識していた。