5000円の昼のコースから。上から時計回りに、お造りの「白甘鯛の昆布じめとうに」。素材ごとにだしを煮含めた「湯葉と菊菜、合鴨ロースの炊き合わせ」。地元の「石野味噌」の玉味噌に2〜3日漬け込んだ「銀鱈の西京焼き」にはおばんざいの「卯の花」を添えて。脂ののり具合で塩と酢を加減して作る「鯖寿司」は昼も夜も人気。ほかにつき出し、デザートが付く。食べたい食材や料理のリクエストにも対応してくれる

馴染みのある料理をていねいに

京都市街地から徒歩圏内の静かなグルメスポットとして知られる御所南に、昨年念願の店を構えた真栄城究さん。沖縄に生まれ育ち、大阪の名割烹で日本料理のイロハを学んだ後に京都の和食店に勤務。店を始めるなら食文化や自然風土に恵まれた京都と決めていたという。

夜は一品料理が中心だが、ランチは定番料理と旬の一皿で構成するミニコースが楽しめる。「高級食材で奇をてらうより、お客様に馴染みのある料理をていねいにお作りしています。素材とだしを大事に、“淡味、甘口、しんみりめ”がうちの特徴です」。羅臼昆布、鮪節で2時間かけて抽出するだしの旨みで自然な甘さを生み、絶妙な塩加減と火加減で素材の持ち味を引き立てている。

夜の一品料理「蛤の吸い物」1200円。吸い地は旨み濃厚で、蛤はふっくらとして嚙み切れるやわらかさ。30種類ほどのメニューが楽しめる


例えば、お造りは甘鯛の中で最高とされる白甘鯛をひと塩にして昆布でしめ、西京焼きは甘めの味噌床に漬けた銀鱈をしっとりふんわりと焼き上げる。観光客や女性客が多い昼は京都らしい湯葉や生麩、京野菜を使い、締めのご飯には肉厚の鯖で作る鯖寿司やだし茶漬けが登場することも。さらにだし巻きや天ぷらなどの追加もでき、昼は子ども連れOKでキッズメニューの相談にものってくれる。お客の気持ちにそっと寄り添う懐の深いもてなしが嬉しい。