石原プロって伝統的に大根役者が多い?

綾野剛君は素晴らしい俳優さんで、演技力、表現力もさることながら、集中力が凄いんです。一方、僕はボーッとしてるタイプ。彼にリードしてもらう形で撮影に臨んだという感じでした。綾野君がピリッとしてるので、僕もピリッとしなくちゃ、みたいな。

実は僕、渡さんから演技力を磨けと言われたことがなくて。「ひろし、お前、最近芝居が上達したな。ダメだ」と言われたことならありますけどね。石原さんも渡さんも、もちろん僕も含め、石原プロって伝統的に大根役者が多いじゃないですか(笑)。

でもそれでいいと。役者にとって最も大切なのは存在感だという大前提のもと、芝居のうまい人ならほかにもいくらでもいるのだから、小芝居をしても彼らにはかなわない。ならば自分らしくやれという教えだと思います。


――言葉とは裏腹に、舘さんは、18年に映画『終わった人』で第42回モントリオール世界映画祭最優秀男優賞を受賞。続いて20年には旭日小綬章を受章した。


ビックリしているというのが本当のところなんです。ただ、ドラマも映画も共同作業なので、賞をいただけたのは周囲のみなさんのおかげだと感謝しています。

あとは気合で勝負ですね。現実から目をそらさず、毎日、鏡で全身を眺めることが大事だと思う。身体もそうだけど、心の中もね。自分に嘘をついたり、自分の心を誤魔化したりしないことです。そうすれば、いつまでも輝いていられるんじゃないかなって、僕はそう信じてます。