不要となった部分の食感や風味を活かして
さらに大根やかぶのように、皮と身で火の通り具合や食感が異なるため、皮を剥いたほうが都合のいい野菜もあります。うっかり、大根の皮を筋の外側で剥いておでんなどにしようものなら、口の中に筋が残ってしまいますから。どうしても厚めに剥かざるをえませんが、食べられないわけじゃないんです。むしろ繊維を断つように刻めば、コリコリポリポリした食感やピリッとした風味が楽しめる一品になります。
【皮】 かぶの皮と豚ひき肉のXO醤炒め
《材料・2~3人分》
かぶの皮……小さめ2個分(正味160g)
豚ひき肉……60g
ごま油……小さじ1さじ半
しょうが(みじん切り)……1かけ
酒……大さじ1
XO醤……大さじ1/2(好みの量で可)
醤油……大さじ1強
《作り方》
(1)かぶの皮は筋まで厚く剥き、5ミリ幅程度の薄切りにする。このとき、繊維を横に断つように切る
(2)フライパンにごま油としょうがを合わせて弱火で熱し、香りが立ったら、ひき肉を加えて中火で炒める
(3)ひき肉が全体的に白っぽくなったら(1)を加え、火が通るまでじっくりと炒める。酒を加えたあと、XO醤、醤油を加えて炒め合わせる
※大根の皮でもおいしくできます
つまり食感、舌触りを重視したとき、その料理には合わないから不要な部分が出ただけ。ならば、不要となった部分の食感や風味を活かした別の料理にすればいいんです。これが始末料理の考え方。食材にとっての適材適所を見つけるところに、「賢く」という意味が込められているのだと思います。そうして不都合を好都合に変えていくのも、始末料理の醍醐味ですね。