三角コーナーにたまる生ごみ。その多くは、野菜の下ごしらえ時に出ています。料理研究家の久保香菜子さんは「まずは捨てる手を止めてみて」と言います。新たな食感や味わいを楽しめる一品と出合えるかもしれません(イラスト=毛利みき 構成=山田真理)
ハンパな部分は別の料理に活かす
「始末する」という言葉は、京都育ちの私にはとても馴染み深いものですね。全国的に使われる「片付ける」「処分する」といった意味ではなく、かといって、辞書などに見られる「浪費しない」「倹約する」ともちょっとイメージが違うのです。
近畿圏の人にとっての「始末する」は、モノを最後まで有効に使って、無駄に捨てることのないように一工夫を加える行為そのもの。つまり賢く使い尽くすことを意味します。この「賢く」というのが大事なところなんですね。(笑)
私がご紹介する「始末料理」も、捨ててしまいがちな野菜の皮や葉、根、ヘタなどを「もったいないから食べる」のではなく、むしろ「その部分を活かした料理で、おいしくいただく」ことを大切に考えています。
そもそも、野菜を下ごしらえする際、どうして捨てる部分が出るのかを、まず考えてみましょう。たとえば皮。里芋やトウモロコシのように、もしゃもしゃした毛がついていて、皮を食べるのがほぼ無理、という野菜もありますが、大半は食べられないわけではありません。
じゃがいもの場合、新じゃがなら皮のまま煮ますし、素揚げのフライドポテトも皮つきのほうが好きな方も多い。しかしポテトサラダにするときは皮を剥きますよね。